2024.04.30

SAP S/4HANA インストール紹介(第一回目:SAP S/4HANA検証環境構成の紹介とOS設定について)

はじめに

最近、レイエントシステムのSAP ベーシスプロジェクトで多いものが、SAP S/4HANAのアップグレードや、SAP ERPからSAP S/4HANAへのコンバージョンなどの構築となっています。
これらは、SAP S/4HANAのサポート期限の関係もあり、SAP S/4HANAへの切り替えを目的とした案件が多くなっていると考えられます。

今回から、過去に社内検証としてSAP S/4HANAの構築を実施しましたので、その対応をご紹介して行きたいと思います。
連載内容は以下の通りとなります。内容が多いため、複数回に渡ってご紹介して行きます。

No内容
1SAP S/4HANA検証環境構成の紹介とOS設定について
2SAP HANAのインストールとSAP S/4HANAとの同居の場合のメモリ設定
3SAP S/4HANAインストール(SWPM実行)
4SAP S/4HANAインストール後後処理(その1)
5SAP S/4HANAインストール後後処理②
6FPS適用①
7FPS適用②
8FPS適用後後処理
9その他対応

第一回目はレイエント検証環境構成の紹介と、SAP S/4HANAインストール時のOS設定についてご説明します。

SAP S/4HANA検証環境の構成の説明

今回検証した各製品のバージョンは以下となります。

OSRedHat Enterprise Linux 7.6
S/4HANASAP S/4HANA 1909 FPS01
HANADBSAP HANA 2.0 Rev46

SAP社の推奨している構成は、SAP S/4HANA のアプリケーションサーバとSAP HANAサーバを別々のサーバに構築することを推奨していますが、今回の検証ではSAP S/4HANAとSAP HANAを1つのサーバ上に構築しています。
構成イメージとしては以下の図の内容となります。推奨構成ではありませんが、検証等を目的として構築する場合、1つのサーバ上に導入する構成について問題ないことは、SAP Note:1953429にも記載されています。

サーバのスペックはVMWare ESXi上に構築した仮想マシンでCPUはE5-2609を8コア、メモリを128GB割り当てている状態です。
このスペックであれば、メモリ使用量はギリギリではありますが、動作検証目的としては正常に稼働させることができます。
この検証環境も、現在はOS、SAP S/4HANA、SAP HANAすべてをアップグレードしておりますので、その内容についても、別の機会にご紹介できればと思います。

SAP HANA使用時のOS設定ガイド等について

検証当時はRHEL 7.6であったため、以下のガイドを参考にOS設定を実施しています。
SAP Note:2009879 Red Hat Enterprise Linux (RHEL) オペレーティングシステム用の SAP HANA ガイドライン
上記SAP Noteに添付されている「hana_20_Red_Hat_Enterprise_Linux_RHEL_7_x_Configuration_Guide_for_SAP_HANA_en.pdf」に従い、OS設定を実施します。

※現在サポートされているバージョン8または9のRHELを使用する場合は、SAP Note:2009879に記載されている各バージョンのSAP Noteの情報に従い対応する必要があります。

今回実施したOS設定としては、以下を実施しています。

No内容
1リポジトリの購読設定
2必須パッケージの導入
3ホスト名設定
4NTP設定
5ストレージ設定
6HANA用調整プロファイルの有効化
7SELinuxの無効化
8自動NUMAバランシングの無効化
9シンボリックリンクの設定
10透過的なHugePagesの無効化
11CPUガバナーのパフォーマンス設定
12プロセッサのC-States設定
13ユーザ実行プロセスの最大数設定
14自動バグ報告ツール (ABRT)とコアダンプの無効化
15ファイアーウォールの設定

また、今回の環境については1サーバにSAP HANA、SAP S/4HANAをインストールする構成ですので、以下のSAP Noteの対応も追加で実施します。
SAP Note:2002167 Red Hat Enterprise Linux 7.x: インストールおよびアップグレード
大部分については、SAP Note:2009879の添付のガイド設定で実施済みですが、パッケージuuiddのインストールについての記載があります。
このuuiddは、SAP S/4 HANAのアプリケーションサーバを稼働されるための必須のパッケージとなるため、SAP Noteの記載に従い導入を実施します。

最後に

今回ご紹介したSAP Note:2009879に添付されているガイドについては、RHEL7でのSAP HANA使用時の設定ガイドですが、RHELに慣れていない方は対象バージョンでなくても確認することをお勧めします。
実施するコマンドについての解説も記載されているため、バージョン8、9のRHELで設定する前に読むと実施内容のイメージもつきます。
※実際にここに記載されているコマンドについては、バージョン8、9のRHELでも使用されるものがほとんどです。

上記の2つのSAP Noteの対応が完了したら、OSの初期設定は完了となります。
次回は、SAP HANAのインストールとSAP S/4HANAとの同居の場合のメモリ設定について、実施方法を交えてご紹介したいと思います。

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