2026.08.03

SAP言語インポート処理時間の短縮方法

SAPシステム(ABAP)の初期インストール時点では、導入されている言語は「ドイツ語(DE)」と「英語(EN)」のみとなり、ドイツ語と英語以外の言語を利用する場合は、対象言語をインポートする必要があります。
本記事では、多数の言語をインポートする必要が発生した場合に、短時間でインポートする方法をご紹介します。

■ SAP言語インポートの処理のステップ

SAPシステムへの言語インポートは、以下のステップで実施することになります。

ステップ処理
対象言語の設定
SAP提供メディアからの言語インポート
サポートパッケージ部分の言語インポート
クライアント000での言語補足
クライアント000以外での言語補足

上記ステップのうち、①はマニュアルでの設定作業となるため短縮は不可能ですが、②~⑤については作業を並行して実施または、インポートの設定を変更することで短縮が可能となります。

■ 初期構築での言語インポートの短縮方法

多数の言語をインポートすることが決定している場合は、SAPインストール完了後にステップ①のインポート対象の言語設定を行った後にSUM(Software Update Manager)を実行することで、サポートパッケージの適用と合わせて、ステップ②と③を纏めて実施することが可能です。
また、クライアントコピーをSUM完了後に実施することで、ステップ⑤が不要となります。
ステップ④にて、複数言語を言語補足する場合の短縮方法は後続でご説明します。

以下の文書では、アップグレード時と説明されていますが、例えばSAP S/4HANA 2023のインストール完了後に、SUMでFPS01の適用中に言語インポートを実施させることが可能です。
シャドウインスタンスに言語インポート処理が実施されるという流れ上、SUMの処理では必ずシャドウインスタンスを作成して、適用処理を実施する必要があります。
Language Import During the Upgrade

■ 本番稼働している環境での言語インポートの短縮方法

全ての言語インポート作業をマニュアルで実施する必要がありますが、並行して実施することでステップ②~⑤の処理時間を短縮させることが可能です。
それぞれの時間の短縮方法をご説明します。

■ ステップ②:SAP提供メディアからの言語インポートの短縮方法

ステップ②の時間短縮方法については、以下の方法で短縮が可能です。

1.インポートの並列度を上げてインポート

トランザクションコード SMLTで言語インポート時に並列インポートプロセス数を設定することで、インポート時間の短縮が可能です。

この方法は、対象言語が少ない場合は有効な方法ですが、多数の言語を短時間でインポートしたい場合には不向きです。
言語メディアが同程度の容量であるスペイン語とポルトガル語を、それぞれ並列度「1」と並列度「9」とでインポートした結果が以下となります。「1」並列と比べて「9」並列でのインポート時間は半分程度までしか短縮されないことがわかります。

言語並列度処理時間
スペイン語92時間15分
ポルトガル語14時間33分

これは、言語インポートは10個の移送ファイルがインポートされていますが、10個のファイルの容量が均一でないため、インポート処理が短時間で完了するファイルと長時間が掛かるファイルが出てきてしまうためです。

2.インポートの並列度を下げて複数言語を並行でインポート

9種類の言語をインポートする必要がある場合、各言語の並列インポートプロセス数を「1」に設定して、9種類の言語インポートを同時に実行することで、並行して言語をインポートすることで、短時間でのインポートが可能となります。

多数の言語をインポートする必要がある場合は、1の方法よりも2の方法が時間を短縮できます。
1、2どちらの方法でも、並列度の設定は処理を実行するサーバのCPUコア数を上限に検討し、本番稼働中の環境の場合は半分程度にするなどを考慮して計画するのが推奨されます。

■ ステップ③:サポートパッケージ部分の言語インポートの短縮方法

サポートパッケージ部分の言語インポートでは、以下の設定により複数言語のインポートを実施することが可能です。

トランザクションコード SE38 からABAPプログラム「RSTLAN_IMPORT_OCS」を実行して、[ベクトル(並列モード)]に対象言語を指定する。

[ベクトル(並列モード)]に指定するのは、日本語の場合「JA」のような2文字の言語キーではなく、1文字の言語キーで指定する必要があります。上記の場合だとポルトガル語の「P」、スペイン語の「S」を指定しています。1文字の言語キーが不明な場合は、ステップ①の設定時のトランザクションコード I18N の有効化時の画面を確認することで、言語キーがわかります。

上記の場合は、「DEJ」がドイツ語、英語、日本語であるため、残りの2つの「PS」がポルトガル語とスペイン語を表していることがわかります。

プログラムを開始することで、並列インポートの言語ベクトルという項目に対象言語が設定されていることを確認して、サポートパッケージの言語インポート処理を実施します。

サポートパッケージの言語インポートが完了すると、設定言語で同時にインポートされていることが確認できます。

1言語ずつインポートが必要だったサポートパッケージの言語インポートを1回のインポートで複数言語を同時に処理できますが、この方法ではセルビア語(「d」)等はインポートできません。
これは、プログラムの制限により、ドイツ語の「D」と大文字・小文字の違いで適切にインポートができないためです。
SAP Note 2179479 – RSTLAN_IMPORT_OCS: Parallel OCS import for several languages. Limitation

インポート処理はR3transが1プロセスで実行されます。
この処理の並列化設定は存在せず、並行して他の言語を処理させることも不可能であるため、サポートパッケージ部分の言語インポートを手動で実施する場合は、この方法が唯一の時間短縮方法となります。

■ ステップ④:クライアント000での言語補足の短縮方法

このステップについては、それぞれの言語で並行で実施することが可能です。
例えば、スペイン語の言語補足処理を開始して、直ぐにポルトガル語の言語補足処理を開始することで、並行して複数言語の言語補足処理を実行することが可能となります。
ただし、1つの言語補足処理で1つのバックグラウンドワークプロセスが必要となります。
本番稼働中の環境で多数の言語補足を実施する場合は、全てのバックグラウンドワークプロセスを使用しないようにすることと、CPUリソースを言語補足処理に使いすぎないように考慮が必要です。

■ ステップ⑤:クライアント000以外での言語補足の短縮方法

このステップの短縮方法は、ステップ④で紹介した方法と同様となりますが、注意が必要となります。他のクライアントで言語補足を実行中は、他のクライアントでの同一言語に対する補足処理は実行できません。
複数クライアントで同一言語の言語補足を実行しないように計画する必要があります。

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