DB+CI構成でのSAPシステム構築

はじめに
過去のブログ記事「SAPインスタンス構成」で説明した通り、通常の方法でSAPシステムをインストールした場合、標準構成のSAPインスタンスはPAS+ASCSとなり、現状はこの構成が推奨構成です。
しかし、過去のSAPシステムでは、ASCSとPASの機能が1つのSAPインスタンス ( Central Instance (以下、CIと記述) )として構築されており、現在でも一部のお客様のSAP ERP環境では、この構成で稼働しているところがあります。
1サーバ上にSAPインスタンスを構築した場合のイメージは、左が今回インストールについて説明するDB+CI構成、右が現在の標準構成となります。

上記のDB+CI構成で稼働している環境は、10年以上経過している環境が多く、OSやDBのサポート期限切れのため、サーバのリプレース・移行やSAP S/4HANAへのコンバージョン等が選択肢となります。
今回は、サーバリプレース・移行を選択する場合に、SAPインスタンスの構成(DB+CI構成)を変更せずに移行する方法をご紹介します。
SAPインスタンスの構成を変更したくない理由について
SAPインスタンスの構成を変更したくない1番の理由については、メッセージサーバが稼働するポート番号を変更したくないという点にあります。
メッセージサーバの外部向けポートは「36<インスタンス番号>」となるため、PAS+ASCS構成ではインスタンス番号をPASは「00」、ASCSは「01」とした場合に、メッセージサーバのポート番号が変わることになります。
特に負荷分散(ログオングループ)で、SAPGUIやジョブ管理ツール、周辺システムとをメッセージサーバ経由で接続している場合、ネットワークの変更箇所が多くなるため、SAPインスタンスはCI構成のままとしたいなどの要件が出てくることがあります。
CI構成で構築可能なSAP製品について
構築可能なSAP製品は、SAP NetWeaver 7.0 ~ SAP NetWeaver 7.03を基盤とするSAP製品のみとなります。SAP ERP 6.0の場合は、SAP ERP 6.0 EhP6までが対象範囲となります。
上記以外のSAP製品の場合は、PAS+ASCS構成のみとなりますので、SAP S/4HANA等のSAP製品では構築不可となります。
構築方法について
Software Provisoning Manager(SWPM)でインストールを行いますが、ASCSはインストールしないため、まずは「Global Host Preparation」を実行して必要となるSAPディレクトリ、デフォルトプロファイルの作成を行います。
また、以下の作業の順序については、システムコピー時でも同様の順序となります。

SWPMの指示に従い、インストール処理を完了させると、プロファイルディレクトリに最小限の内容が定義されたデフォルトプロファイルが作成されます。

次に、Distributed SystemからDatabase Instanceのインストールを実施します。
今現在の構成に慣れていると、ASCS Instanceのインストールから必要と思われるかもしれませんが、CI構成が可能なSAP製品の場合はスキップが可能です。

正常にDatabase Instanceのインストールが完了したら、最後にCentral Instanceのインストールを実施します。
Central Instanceのインストール完了後、SAPインスタンスの状態は以下の画像のようになります。
まずは、SAPインスタンスとプロセスリストの状態ですが、SAPインスタンスが1つの状態でメッセージサーバとディスパッチャーが稼働しています。

次がワークプロセスの状態となります。エンキューがワークプロセスで稼働していることが確認できます。

最後がプロファイルの状態となりますが、インスタンスプロファイルはCI分の1ファイルであることが確認にできます。
スタートプロファイルは対象のインスタンス起動時に必要なパラメータが定義されているプロファイルとなりますが、現在の構成だとインスタンスプロファイルに統合されているため、こちらも最近は見る機会が少なくなってきたプロファイルとなります。

上記の方法でインストールすることで、対象製品であればSAPインスタンスの構成を変更することなく、サーバの移行が可能となります。
最近では、SAP S/4HANAへの移行を選択される場合がほとんどですが、保守延長まで見てSAP ERP 6.0 EhP6へのアップグレードやサーバ移行を依頼されるお客様もいらっしゃいます。
今回は、そのような場合でも対象製品であれば、インスタンス構成を変更せずに移行・アップグレードが可能と言うことのご紹介となります。
SAP製品の導入・移行・運用保守に関して、お気軽に相談下さい。
レイエントシステムではSAP製品の新規導入からシステム移行、運用保守までご対応します。
<お問い合わせ>